今まで私にとっての物語は、逃亡のためのものでした。ここではないどこかへ、遠いところへいくためのものでした。

そうやって自分を自分として受け入れられる場所までようやく来れた気がしていて、もう、私は逃げなくても良くなりました。だから、これまで避けてきた繋がりと向き合いたい。そのための意思を掲げます。


私の土地を作り、脈を通し、揺さぶりあう

  1. 自分の土地と風景を作ること
  2. 身体と土地と他者をつなぐ脈を通すこと
  3. 脈を通して他者と揺さぶり合うこと

「私の土地」とは、魂の有り様であり、身体と脈でつながっている場所です。「私の土地」は、自分の生を生きるため、そこにただ立つために、必要です。

これを書いている私自身の土地は、土と水と緑でできています。森の中に小さな湖があります。私はそこに裸足で立ち、血脈と水脈がつながっていることを想像します。

私は、人が自分のために作った土地の風景を見てみたいです。それが面白くて美しいと思うから。その人だけの形が見たい。だからそのために私ができることはやりたいのです。

自分の土地を作ることと、脈を通すことは、学んで出来るようになりますが、人によって作った土地が脅かされたり、形づくることが難しかったりします。それを守ったり助けたり育てたりするのが、言葉と、他者とのつながりです。

私がやろうとしていることは、あなたの土地に影響しようとすることです。脈で私の土地とあなたの土地が繋がっているなら、きっと届くはず。だから自分の深いところに投げかけるようにしてあなたを揺さぶろうと思います。

私のための言葉は十分書けたし、これからも必要になったら書けるでしょう。でも、地脈の細いところにいる人たちは、きっと心細い。だから、そういう人たちのために水脈を太く保ちたい。土地を脅かさず、守るための言葉で、優しく揺さぶりたい。

それから、あなたの言葉で揺さぶられたい。

私をつないで揺さぶってくれた人たちのために、揺さぶれるような表現をつくりたいです。

土に足の裏をつけて、湖に手をひたします。

風に揺れる草の匂いがします。

この土地はこれから、たくさんのあなたの棲家になります。